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〆羽奏 2017/03/28 18:27:58
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―――純潔な白は、脆く壊れやすい。
/フラジール・イノセント
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No.1
〆羽奏 2017/03/28 18:25:21
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Innocent:00|―――→「灰の記憶」
(The memories I always remember are dyed gray)
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No.2
〆羽奏 2017/03/28 18:29:09
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◆
残響する叫び声と共に紅い何かが飛び散った。綺麗な紅は流線形を描き、床を染める。これは一体と考えている間に男はゆっくりと振り向いた。
「嗚呼、まだ残っていたのか。――」
項垂れる傀儡をかき分けてゆっくりゆっくりと私の方へと近づいてくる。薄っすらと笑みを浮かべて。その笑みが怖くなり逃げようとするが、幼子の足は動かない。
どうにかして床に縫いつかれた足を動かそうとするが時は遅い。男はもう私の前にいた。男は私と視線を合わせるため屈んだ。そして、のぞき込み紅まみれの手で私の頬を触る。
「幼子を殺す趣味はないんだよね、僕。だから、嬢ちゃん。きみには、二つの選択肢をあげよう。一つ目は、このままおじちゃんに殺される。二つ目は、おじちゃんと同じ道を進み生きる。どっちがいい?」
さあ選ぶがいい嬢ちゃんと甘いお菓子でもあげるかのように言う男。差し伸べられた手は二つ。紅く染まった手と、紅く染まっていな手。幼子には難しい選択をこの時迫られた。しかし、私は偏に冷静で”紅く染まった手”をとった。
「おじちゃんと、この状況を作り出した人たちを殺すため、おじちゃんと敢えて同じ道を選ぶよ」
「へえーなかなか賢い選択肢をするね。いいよ、その目。僕は大好物だ」
男は無邪気に笑い、紅く染まった手で無垢な幼子の手を握り返す。この男についていくと決めた、その日は美しい白色が眩しい朝だった。
だが、私にはその白色の朝が、白色と黒色が混沌し合い融けていった灰色の朝にしか見えなかった。
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No.3
〆羽奏 2017/03/28 18:29:52
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◆
ゆさゆさと揺らされる。まるで揺りかごの中にいるように。何度も揺らされて何と思いながらも目の中に差し込むのは淡い光に目が眩む。と、同時に聞き慣れた声がする。
「アリスお姉さま! 起きてください」
「……あ、おはようございます。リエル様」
目を開けると、其処には赤茶がかかった絹糸のような髪に、透き通ったまん丸のビー玉のような翡翠の双眸に普段は見せない寝ぼけた私が映り込む。私はどうやら木の下で微睡みながらうたた寝をしてしまっていたらしい。
「ふふっ。アリスお姉さまの寝顔を拝見できて僕は嬉しいですね」
「あまり見られて嬉しいものはないですよ、リエル様」
苦笑いを浮かべながらも立ち上がる。私を起こした少年、リエル様――リエル=F(フレイ)=ハイランド様は今私がお仕えしている主だ。
起こしていただいてありがとうございますと彼に告げると、リエル様は頬を膨らませる。
「……アリスお姉さま。今、僕と二人きりですよ。様付けはやめてください」
「あ……ふふっそうですね。――リル」
リルと呼ぶと彼は嬉しそうに無邪気に笑う。その笑みを見て私もつられて笑う。アリスお姉さまと私を呼び慕うリエル様。リエル様と二人きりの時はそうお互いに呼び合うのだ。
最初は、アリスお姉さまと呼ばれることに抵抗があった。主従関係であるというのもある。しかし、数年お仕えしていると慣れてしまった。彼にそう呼ばれるのは好きである。
「ところでアリスお姉さま。良い夢でも見ましたか?」
「夢……そうですね、灰色の夢を見ました」
「灰色?」
「色がついていない昔の夢ですよ」
リエル様は明晰夢なら色がつくのでしたっけと言いながら私の隣を歩く。明晰夢にしろ、ただの夢にしろ、私が見る夢は何時も灰色だ。だからと言って夢を見ることは嫌いではないがいつも再確認させられる。
「……あの時のことを、何度でも」
そう小さく呟きながらも、リエル様と一緒に屋敷の中へと戻っていく。淡い白い光が、目に一瞬灰色にぼやけた気がした。
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No.4
〆羽奏 2017/03/28 18:30:31
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Innocent:00|―――→「灰の記憶」 END
(灰の記憶は、いつでもあのことを再確認させられる)
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No.5
〆羽奏 2017/03/28 18:33:21
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―――→「ここでご挨拶」
初めまして、羽奏(わかな)と申します。
ここへ来るのは久しぶりです笑。
もしかすると文章の書き方で誰だかわかるかもしれませんが、敢えて名前を伏せます。
ジャンルとしては、
「恋愛」「ファンタジー」ものですが、ダークラブファンタジー寄りですね。
この中で好きなワードがあれば読んでいただけると幸いです。
「ダークファンタジー」「恋愛」「主従関係」
「年上年下」「身分違い」「一途」
あ、このワード好きだと思った方はこの作品をすすめたいと思います笑。
感想や評価は随時お待ちしていますので気軽にどうぞ!
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No.6
葉澄。 2017/03/28 23:06:51
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これからどうなるのか楽しみです!
久しぶりに良作に出会えたと思います笑。
ところで羽奏さんは、新がついていた名前でしたか?
更新頑張ってください(*'▽')
No.7
〆羽奏 2017/03/28 23:59:49
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◎ まひる*、様
コメントありがとうございます(*´▽`*)
そう言っていただいて嬉しいですね!
あ、そうですね笑。前の名前は新がついていました!
更新頑張りますのでどうぞよろしくお願いします(*‘ω‘ *)
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No.8
〆羽奏 2017/03/29 00:13:51
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Innocent:01|―――→「宵闇の正体」
(Crouching will laugh at the dusk)
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No.9
〆羽奏 2017/04/04 02:01:59
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◇
白いシーツを広げるとふんわりと花の香りが漂う。好きな洗剤の匂いだ。
こうした、麗らかな午前ののどかな日は絶好の洗濯日和である。次々とカゴの中から、洗い立ての白いシーツを取り出して干して行く。
これが終われば次は、奥様とリエル様の服を干さないと思いながら誰もいないことをいいことに鼻歌を歌う。
ぽかぽか日和に好きな歌を歌うのは楽しい。一人で歌いながらも今日も業務を全うする。
「アリス=メルフォール」
不意に名前を呼ばれて、我に返る。おそるおそる後ろを振り向くと、そこにはメイド長のチェルシー=マーリーさんがいた。
チェルシーさんは、穏やかな笑みを浮かべて私を見つめている。この時のチェルシーさんは、何か怒っているときだ。苦笑いを浮かべながら、ゆっくりと干そうとしていたシーツをカゴの中に置く。
「……アリス。リエル様がどこへ行ったかご存知ですか?」
「え、またですか?」
「ええ、そのまた、なのです」
にこりと微笑むチェルシーさん。目線を泳がせながらも、頭を下げる。
「申し訳ございません。今日は、自室にこもるとお聞きしていたので……」
「あの坊ちゃまが大人しい人に見えますか?」
「いえ見えないですね……」
私は苦笑いを浮かべる。今日という今日は流石に自室で大人しくしてくれているものだと思っていた。
あのリエル様のことだ。大人しくできないことを重々しっているはずなのに。チェルシーさんは深いため息を零しながら顔をあげなさいと私に促す。
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No.10
〆羽奏 2017/04/04 02:03:05
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「何年貴女は、リエル様のお目付け役をこなしてきたのですか。アリスがしっかりしてくれないとこちらも困るのです」
「すみません……甘く見過ぎていました」
「全く……もう少しでリエル様は、15歳になられるというのに先行き不安だわ」
チェルシーさんに謝りながらも、心の中でリエル様のバカと恨めしく吐く。何年、彼に仕えてきたのか。彼の性格を把握していながら甘く考えすぎた。
何せ、リエル様はもう2週間と切れば、15歳になろうとしている。15歳は立派な青年として扱われ、来年にでもハイランド家の主となるためにご遊学される予定なのだ。
節目の年として大きな生誕祭を催されるのだが、今日はそのためにチェルシーさんと新たな装いを新調する予定だった。しかし、いつもの放浪癖が出てしまったらしい。
「いいですか、アリス。夕方までにリエル様を探し出し屋敷へ連れ戻してきなさい!」
「し、しかし……私はまだ業務が」
「洗濯物は他の者にやらせますから、貴女だけが頼りです。唯一、リエル様を見つけ出せる貴女だけが!」
チェルシーさんに両肩をぎゅっと力強く掴まれ、彼女の目が真剣さを物語っていた。これはかなり、必至だ。
「は、はい! ぜ、全力で見つけ出してきます!!」
私はそう言って、足早にその場を去る。早く見つけ出さないと私が怒られるパターンだ。チェルシーさんのお説教は長いから、絶対にお説教を受けたくない。
こうして、私はリエル様探索を開始した。リミットは夕方まで。何としてでもじゃじゃ馬少年、失礼リエル様を見つけ出してやると大きい決意をするのであった。
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No.11
〆羽奏 2017/04/07 02:17:30
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ハルファール王国は、大きく8つの領地を束ね形成されている国だ。その中でも花の匂いと人の賑わいが絶えないフロウリース領。
ここはハイランド家が治める領地である。陽気な領民性のせいか、年がら年中賑わいが絶えることがない。あちらこちらから喧騒が聞こえる中、噴水広場にたどり着く。
フロウリース領のシンボルともいえる花時計は観光名所の一つとして有名で、その花時計は、午後12時を告げる鐘と共にふんわりと優しい花の匂いが噴水広場で拡がる。
「……なぜ、今日に限ってリエル様は見つからないの!?」
ベンチに座り込みながらも、長年の勘を頼りに思い当たる場所を虱潰しに向かったがどこもリエル様がいなかった。今日で何度目かわからないため息を吐く。
「あと数時間経てば、夕方だわ……お説教だけは勘弁してほしい!」
考えるだけで青ざめてしまう。それだけは避けたい。よしっと軽く頬を叩く。前向きに考えろ、アリス。そう言い聞かせながらも違う場所を探し出そうとベンチから立ち上がる。
すると、噴水広場にひと際目立ち集団を見つける。女性たちだ。女性の黄色い声が響き渡る。
何か有名なスターでもいるのか。女性たちが囲むほどだ。顔立ちが良い男が囲まれているに違いない。なんて考える。
「まさかはと思うけどリエル様がいるなんてないわよね?」
そう言いながらも私はないわよねと笑う。何故そんなことを考えてしまったのだろう。先ほどから胸の中でむずむずと嫌な予感がする。
まさかねと自分自身に言い聞かせながら、恐る恐る横目で通り過ぎようとして、大きく目を見開く。
「すみません……あの、そろそろそこを通していただけますか?」
「り、リエル様!?」
思わず大声を上げる。そこには、戸惑った表情で女性に囲まれたリエル様がいたのだった。
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No.12
〆羽奏 2017/04/08 02:48:42
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大声をあげたことにより、リエル様と目が合い、リエル様を囲んでいた女性たちとも何事と言わんばかりに私を見つめる。
意外な人がいたとは大声を上げるべきではなかった。一気に私は注目の的になる。
すると、リエル様は先ほどの表情とは打って変わり私を見つけたことで目をきらきらと輝かせる。
「アリスお姉さま……! いえ、アリス。お待ちしていましたよ」
「え、あ、アリス?」
女性の集団から掻き分けて私のところへくるリエル様。まさかのアリスと呼び捨てにされるとは驚いた。
否、彼に仕える身なので呼び捨てされるのも然程驚くことではない話だが。普段、彼と二人きりではない時は「アリスさん」と呼んでくれるので、少し不思議に思えた。
そして、リエル様が私のところへ来ると左手を掴み恋人繋ぎをするのだ。うん、と首を傾げる私をよそにリエル様は私に笑みを向けたのち、女性たちの方へと振り向きこう宣言した。
「すみません。僕には、アリスという素敵な恋人がいますのであきらめてくださいね」
その場にいた女性たちも私も一瞬、脳が停止する。私は何時、リエル様と恋人関係であったか。否、初耳だなあ。呑気にそう考えたのち、正常に思考が戻る。
「いやいや! いつ私はリエル様の……」
慌てて否定をしようとしたとき……リエル様は無邪気な笑みを浮かべる。
「僕はアリスの恋人、リエルですよね?」
「は、はい……」
否定から肯定を頷く。有無を言わさぬその無垢で純粋な笑み。その笑みにめっぽう弱いことを知っているのだろうか。
きっと知っているからそんな笑みを向けてくるのだろう。そうだとしたら中々に怖い、14歳だ。
心の中で苦笑をもらしながらも、私が頷いたことで女性たちは残念そうにリエル様から離れていく。気が付けば誰一人いなくなり漸く、リエル様が私の手を離してくれた。
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No.13
〆羽奏 2017/04/10 00:33:40
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「チッ。つまらないですね。もう少し僕を囲っていたら、アリスお姉さまとずっと恋人繋ぎ出来ていたのに」
綺麗な顔立ちに似つかわしくない舌打ちをするリエル様。私は深いため息を零しながらも、窘める。
「リエル様……舌打ちはよくありませんよ。それと、女性たちに対して何故あのような態度をとられたのですか」
すると、リエル様は私の手を掴み、上目遣いするように私を見つめる。
「いけませんか? あのように言えばあきらめがつくことはわかっています。此処へ来るたび容姿で囲まれるのは面倒です」
「確かにそうですが……と言って私を恋人役にしなくても」
リエル様らしいと言えばリエル様らしい。相手を傷つけないように出来るだけ対処する。恋人がいると言えば、あきらめがつくだろう。
しかし、私を恋人役にするまではなかったはずだ。リエル様は、嗚呼、それはですねと前置きをする。
「恋人にするなら、アリスお姉さまがいいからです。代役はききません」
「……え?」
「恋人繋ぎをしたいのも、もちろんその先のこともしたいのも全部アリスお姉さまだけですから」
思考がしばし停止。顔をのぞきこむように翡翠色の双眸に戸惑う私が映り込み、リエル様は無垢な笑みを浮かべている。さらっと歯がゆいことを言えるものだ。あざとい。
この5センチの身長差はずるい。顔を下からのぞき込んで無垢な白のように笑うリエル様は、今は罪深い。
その上に、心が違う感情にぎゅっと掴まれる。浸食される感覚に似ている。このままでは……意味がない。私は、そっとその感情を殺し大きく息を吐き出してリエル様の手を離す。
「何を仰っているのですか……リル。冗談を言うのは、やめてください」
「ちぇっ、アリスお姉さまにはまだまだ響きませんか。まあ、今回はいいですよ。リル呼びしてくれるだけでもうれしいので」
子供っぽく笑う姿はまだまだ14歳の少年だ。その姿に私は、一安心をする。
彼からの好意は、すべてわかっているが今は気づかないふりをする。そう、気づかないふりをしないといけないのだ。
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No.14
〆羽奏 2017/04/14 01:38:24
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そして、私は我に返るようにはっと思い出してリエル様に黒い笑みを笑いかける。
「それよりも、リル。私にひとつ嘘を吐きましたよね?」
「あー……そうでしたっけ?」
苦笑いを浮かべて視線を泳がせるリエル様。私はますます黒い笑みが深くなる。
「とぼけないでください。昨日も今朝もあれほど自室で大人しくしていてくださいとお願いしたではありませんか! チェルシーさんのお説教は長いから嫌何ですからね!?」
「アリスお姉さま……9割型本音はチェルシーさん何ですね」
「当たり前です。チェルシーさんは何だかんだで、リルに甘いし私も甘いから毎回こんな目に会うのだけども! 毎回リルの代わりに怒られるのは私なのですからね!」
すべて言い終えるとすっきりした。リエル様がどこへ行こうとするのは勝手だ。
だが、ハイランド家の現当主、リエル様の父、ヴォルフ=F(フレイ)=ハイランド様からの許可が下りない限り、出かけるのは出来ないのだ。
しかし、残念なことにリエル様は放浪癖があり、外へよく一人で遊びに行っている。領民たちの視察だという名目にしながらの遊びだ。
そんなリエル様をお仕えしてから早7年。いつも探し出す羽目になるのは決まって私なのだ。
「それは……毎回、すみません、アリスお姉さま。だけど、今日だけはお許しを頂きたいです」
私の手をとりそう告げるリエル様。先からあざといその笑みは何か。態とやっているのだろうか。翡翠の双眸が私に訴える。
今回も負けないと見つめるのだが、数秒、数分経っても真っ直ぐに見つめ返される。私は深いため息をひとつ零す。完敗だ。
「……はあ、今回だけですからね。ですが、どうかお願いです。夕方までには屋敷へお戻りください。その間までは甘んじて、目を瞑りますから」
左目を一瞬瞑り参ったと白旗をあげる。すると、リエル様はぱあーっとますます表情を明るくなり、嬉しさのあまりか掴んでいた私の手を左右に振る。
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No.15
〆羽奏 2017/04/14 01:41:59
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「ありがとうございます、アリスお姉さま。夕方までは屋敷に戻ります。どうしても、今日じゃないと見られないものがあったので良かったです!」
「見られないものとは何ですか……?」
首を傾げる。リエル様が出かける時は何か「目的」があることは知っている。だから、今日も何かの目的でフロウリース領へ足を運んでいるのも理由だ。
リエル様は、私の手を離してそっと人差し指を立て自身の唇に添える。
「それは内緒です。行ってみてからのお楽しみっていうことで」
「えー教えていただいてもいいじゃないですか、リル」
わざとらしく拗ねてみる。しかし、リルは私に教える気配もなく左右に首を振る。
「拗ねたアリスお姉さまも好きですが、くっと我慢します。行くまでは教えられません。だけど、保証します……アリスお姉さまもきっと喜ぶものです」
「私が喜ぶものですか?」
「ええ、そうです。では、早速向かいましょう、アリスお姉さま!」
「あ、ちょっと待ってください、リル」
はて私の喜ぶものとはいかに。今日でないと見られないものとどう繋がりがあるのだろうか。そんなことを考えていると、リエル様は一歩踏み出し私は慌ててその後へ着いて行く。
慌てて後を追いかけると、向こう側から人が来ていることに気づかず通行人と肩をぶつかってしまう。
「あ、すみません」
「いえいえ」
通行人に一言謝る。リエル様が遠くでアリスお姉さまと元気よく呼ぶ声がする。すぐ行きますと返事しながらも、私は再度通行人に会釈しようとして、通行人が笑った。
「十分、”前”には気を付けてくださいね」
「……ええ、気を付けます」
注意有難うございますと通行人に再度会釈してリエル様の元へ向かうのであった。
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