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『キミに捧げる恋歌(love letter )』

[コメント] 25

guest
茉梛-Mana - 1.79.82.102 2017/01/06 22:22:04  削除依頼

 キミの事が、誰よりも好きだ。

 顔も、性格も、髪の色も、声も。

 全部、全部。

 この恋が、赤い糸で結ばれるー...。

 そんな日を、私は夢見ている。

 そんな想いを、私は歌にのせている。

(・ω・*)(・ω・*)(・ω・*)

 こんばんわっっっ!
 まなです!
 THE☆王道恋愛小説を書いていきたいな~って思ってます♪
 誰もが読みたくなるような小説にしていきたい!!
 ↑これ目標☆笑
 おーえんどうぞよろしくお願いしまーす!!!(ゝω・´★)

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guest

No.1 亜樹€ 180.39.63.116
2017/01/06 22:24:02 削除依頼

頑張ってください!



guest

No.2 みゆるり. 106.181.105.56
2017/01/06 22:25:17 削除依頼

頑張ってください(∩´∀`)∩



guest

No.3 茉梛-Mana - 1.79.82.102
2017/01/06 22:52:10 削除依頼

No.1 亜樹 さん

 ありがとうございます!!
 応援してくださるだけで、ホント嬉しいです(*^3^)/~☆
 最後までよろしくです!



guest

No.4 茉梛-Mana - 1.79.82.102
2017/01/06 23:05:28 削除依頼

No.2 みゆるり. さん

 ありがとうございます!!
 可愛い顔文字付きで笑
 楽しんでいってくださいね~(・ω・ゞ-☆



guest

No.5 亜樹€ 180.39.63.116
2017/01/06 23:16:15 削除依頼

あ~いw



guest

No.6 茉梛-Mana - 1.79.82.102
2017/01/06 23:39:21 削除依頼

♯第1話

♪キミにこっちを見てほしい

 私はこんなにも想っているのに

 気持ちは届いているのかな


 ...じゃらん。

「んーー...」

 私、汐田柚笳(しおたゆか)。

 シンガーソングライター...になる予定。

 特技はギターと歌。

 というか、それしか取り柄がない、といった方が合っているかも。

 自分のミュージックルームで、好きな人への想いを歌に書こうと思ったんだけど...

 現実はなかなか上手くいかない。

「はぁ...」

 ため息をついたそのとき。

「わっっ!!!」

「ぅわあっっ!!」

 いきなり耳元で誰かから大声をあげられた。

 当然、驚く。

「ビックリした?」

 にひひと悪戯っぽく笑った、ポニーテールの彼女は、私の親友、尾崎芽依(おざきめい)。

「もー...何回目よ、芽依」

「100回以上はやってるん♪」

 それで気づかない私も私だけど。

「また作詞?」

「うん」

「相変わらず、頑張るね~」

 芽依はいつのまにか、私の隣に椅子を持ってきて、ちゃっかり背もたれに頬杖ついている。

 芽依とは幼稚園からの幼なじみ。

 現在私たちは中2だから、結構長い付き合いってこと。

「...そういえばさ、湊ちゃん、どうしてるかね」

 ドキッとした。

 湊ちゃん、というのは、本名藍井湊真(あおいそうま)。

 私たちの幼なじみ。

 でも...3年前に、事故で...

 2度と帰らぬ人となってしまった。

 どれだけ芽依と泣いただろう。

 朝日が昇るまで、泣いていた。

 湊ちゃんの夢が、シンガーソングライターだった。

 だから、その夢を今、私が引き継いで目指しているんだ。

「...湊ちゃんの事だから、きっとお花畑で遊んでるよ」

「まさか。 湊ちゃん、死んだとき、小5だよ。 いくらなんでもお花畑は...」

 ガターーーンッッ

 譜面台が勢いよく倒れた。

「柚笳...ゴメン、ゴメンね」

「うっ...芽依......っっ」

「柚笳、湊ちゃんの事、大好きだったもんね...
 ゴメン...」

 芽依がふわっと私を包み込む。

 私はその中で、頭を振った。

 芽依のせいじゃない、悪いのは、あの運転手だって。



guest

No.7 茉梛-Mana - 1.79.82.102
2017/01/07 18:30:40 削除依頼

~3年前~

「湊ちゃん、おっかしーー!!」

「ホント、めっちゃ面白いよね」

「るせーな!」

 爽やかな夏の日だった。

 蝉の声が、うるさいほどに聞こえる。

 私たちは、市民プールに行った帰り道だった。

 3人で住宅街の道路を歩いていく。

 湊ちゃんが自動販売機で買った、ソフトクリームが溶けてしまい、べたべたになったところを笑っていた。

「ドジなんだから~」

 私はそう言って、ティッシュで湊ちゃんのソフトクリームを拭き取った。

「柚笳、サンキュー」

「どーいたしまして。」

 湊ちゃんからのお礼が嬉しすぎて、照れてパッと目を反らす。

「おっ! アツアツだね! 夏なのに~」

 見かねた芽依が2人をからかう。

「芽依! お前マジで黙れよ~」

 湊ちゃんが笑いながら芽依を叩くふりをする。

「暴力反対ー!」

 続けて芽依が、食べ終わったアイスのバーを刀がわりにして斬る真似をする。

 こんな楽しい3人でいたい、私が強く思ったときだった。

「うわっっ!!」

 芽依がよろけ、道路へとしりもちをついた。

 同時に、大きなトラックが芽依に襲いかかる。

 悲鳴をあげる隙もなく、息を呑んだ。

「芽依!!」

 ...それは、一瞬の事だった。

 湊ちゃんが、芽依をかばう為に、自分が犠牲になりに行ったこと。

 鉄板のような真夏のアスファルトに、赤いシミが、どんどん広がっていったこと。

「湊ちゃん!!!」

 芽依が湊ちゃんを抱えあげた。

 トラックは、もう、姿かたちもなかった。

 ひき逃げしたのだ。

「湊ちゃん...!!」

 もう手遅れだ。 私でもわかった。

 湊ちゃんは、頭から、腕から、足から、様々なところから血を流している。

「...柚...笳。 芽依...」

 湊ちゃんが、目をかすかに開き、私たちの名を呼ぶ。

「湊ちゃん、しゃべっちゃダメ!!」

「...ありがとな...。 柚笳...お前が...」

「湊ちゃん...」

 涙が溢れてくる。

 そして、もう目を2度と開かなかった。

「湊ちゃん? ...湊ちゃん!!!」

 最後まで聞いてないよ、話...

 何て言おうとしたの?



guest

No.8 茉梛-Mana - 1.79.82.102
2017/01/07 23:04:39 削除依頼

 湊ちゃんは、死んだ。

 たったさっきまで、私たちと笑い、話し、ふざけていたというのに。

 もう動かない。

 息もしていない。

 心臓も動いていない。

 笑顔も、真面目な顔も、癖も、全部全部。

 もう、2度と見られない。

 ーー完全な過去へと化してしまった。

~~

「柚笳...」

「芽依...生きるって、なんだろね」

 それが、判らない。

 大切な、大切な人を亡くしてまで、生きている意味なんてあるのか。

 想い出が、また、過去へと進んでいく気がした。

♯第1話 完



guest

No.9 茉梛-Mana - 1.79.82.102
2017/01/08 14:11:30 削除依頼

♯第2話

 今日は一段と寒い。

 まるで、空気がガラスのような破片に化して、自分の肌に突き刺さるようだった。

 学校の制服に身を包み、早足で進む。

 この前のことで、いきるとは何か、よく考えてみた。

 実際、死んだことが今世では無い私は、死ぬということが、どんなことなのかはわからない。

 生まれてくるのも、死ぬのも、覚えていない。

 もしかしたら、湊ちゃんもこう思っているかもしれない。

 わからない思いがぐんぐん頭を駆け巡り、今すぐ叫びたい気分。

 この気持ちを、歌にできないか...。

 ふと、そう考えた。

「おはよっ、柚笳!」

「うぇい おはよ、芽依」

 背中を軽く押され、思わず変な声が出た。

 あれから、芽依とは話していなかった。

 こうやって2人で登校することはあっても、なにも話さない。 挨拶だけ。

 芽依も、きっと気にしているのだろう。

 湊ちゃんの事だから。

 私に気遣っている。

 別にいいのに。 いや、よくないか。

 湊ちゃんの事を口にすると、私がおかしくなるから。

 自分でも驚いている。

 そんなこと、するつもりはないのに。

 湊ちゃんも、そうやってほしくないって思っているかもしれないのに。

「やっば。 後5分で授業開始じゃん、柚笳、走るよ!!」



guest

No.10 茉梛-Mana - 49.97.106.75
2017/01/08 19:47:24 削除依頼

 ギリギリセーフで教室へ駆け込む。

 そして、チャイムが鳴った。

「おはよう」

 担任のが、あーちゃんが笑顔で入ってきた。

 あーちゃんは、25歳の美人教師。

 本名、宮野絢佳(みやのあやか)。

 生徒からも男女問わず人気があり、私たちも凄く信用している。

「今日はね、なんと、転校生がいまーす!」

 教室中がざわつく。

「あーちゃーん、転校生って、男子ですかー?」

 そう聞いたのは、クラスのリーダー的存在、白河夏音(しらかわかのん)。

「夏音は、男子だったらどうするつもりなのかなー?」

 どっと笑いが起こる。

 あーちゃんは、クスクス笑いながら、黒板に名前を書いた。

 夏音は、恥ずかしいのか、耳を真っ赤にしている。

『藍井湊真』

 ドキッとする。

 まさか。

 そんな思いがよぎる。

 斜め前の芽依の席を見る。

 芽依も、こっちを見ていた。

 まさか、ね。

 だよね。 なわけないって。

 アイコンタクトで会話しながらも、高鳴る鼓動の音が止まらない。

 湊ちゃんは、もう、いないんだから。 

 この世界に。

「藍井湊真くんです、はい、入ってーー」

 ドクン、ドクン、ドクン...

 ガラッと扉が開く。

 黒髪にすらっとした長身、茶色の瞳、ふさっと長いまつげ。

 どこか懐かしく感じさせるような雰囲気があった。」



avatar

No.11  新菜、  2017/01/09 00:21:13  削除依頼

.



すごく面白いですね(*'ω'*)
転校生は湊真くんなんでしょうか…?。
これからの展開が気になるところです(*´ω`*)
更新頑張ってくださいね!


.



guest

No.12 茉梛-Mana - 49.97.106.75
2017/01/09 11:04:24 削除依頼

✉新菜 さん

 わぁぁあ!!
 来てくださって、本当に嬉しいです!
 ありがとうございます!!
 これからも、Heartrefrain愛読したいと思いますので、お互いどうぞよろしくお願いします!笑



guest

No.13 茉梛-Mana - 49.97.106.75
2017/01/09 11:11:09 削除依頼

No.10 ちょいとミスりました。
最後の」は外してお読みください笑



guest

No.14 茉梛-Mana - 49.97.106.75
2017/01/09 19:56:12 削除依頼

「藍井湊真です、よろしくお願いします」

 彼は、ぺこりと頭を下げた。

「カッコよ!」

 夏音がすぐさま口にした。

「じゃあ、席はー...」

 窓際の席が空いている。

「窓際で」

「はい」

 私の左隣の隣。

 1人人を挟んでいるから、思ったよりも緊張しなくてすみそう。

 てか、なにやってんだ、私。

 この人は、湊ちゃんじゃない!!

~~

 授業が終わり、10分間の休み時間に入る。

 湊ちゃんの周りには、夏音を中心に、沢山の女子で群がっていた。

「どー考えても、近づけないよね...」

 私の席まで来た芽依が大きなため息をつく。

「あの人さ、限りなく湊ちゃんに似てるよね」

「でも...」

 芽依が言葉を濁す。

「声変わりしちゃってるし、前の湊ちゃんじゃないみたい」

「確かに。 って言うか、湊ちゃんじゃないかもよ!」

 2人で顔を見合わせて笑う。

「帰るとき、声かけてみよ」

「うん」

 帰りが楽しみになってきた。

「誰に声かけるの?」

 はっとして振り替えると、そこには、湊ちゃ...いや、藍井くんが立っていた。

「いや、別に...」

 困ったような顔をしてしまったかもしれない。

「そ、か」

 『藍井くん』も、ひきつったような顔をして席へ戻った。

 チャイムが鳴る。

 ...なんなんだ、今の。

♯第2話  完



deleted

No.15 フウナ 2017/01/09 20:22:58  削除依頼

ヤバいーー。
メッチャいい話だー
茉梛さんの事ファンになっちゃたかもー
続きが気になるーー



guest

No.16 茉梛-Mana - 49.97.106.75
2017/01/09 20:53:08 削除依頼

✉フウナ さん
 その言葉、めっっっっっっっちゃ嬉しいです!!
 ありがとうございます!!
 ファンになっちゃって下さい笑
 続きもどうぞよろしくお願いします(///ω///)♪



guest

No.17 茉梛-Mana - 49.97.106.75
2017/01/09 21:27:18 削除依頼

♯第3話

 放課後。

「柚笳、行く?」

 芽依が声をかけてきた。

「うーーん...」

 声はかけたい。

 だけど、少しだけ怖い。

 もし湊ちゃんだったら。

 聞きたいこといっぱいあるけど、何から聞けばいいのか、とか、そもそも、何でここにいるのか、とか...。

 でも、もし湊ちゃんではなかったら?

 人違いだったら?

 恥ず......。

「また今度にしよ、芽依」

 今度って、いつなんだ。

 自分でも一瞬そう思ったけど、そんなの、もう知らない。

「...そうだね」

 芽依、行きたかったんだろうな。

 ちょっとがっかりしちゃってる。

 悪いことしたかも...

 そう思ったとき。

「待って!!」

 後ろから男子の声がとんできた。

 『藍井くん』だ。

「柚笳...湊ちゃんだよ」

「まだ決めつけちゃダメだよ...」

 『藍井くん』は、どんどんこっちに走って来る。

 そして、私たちの元にたどり着いた。

「ゴメンっ、引き留めて...」

 息を切らしている。

「別に...」

 私がそこまで言葉を漏らす。

 芽依が、『藍井くん』の頬に手を触れた。

「...その瞳、...湊ちゃん...だよね......?」

 芽依がこんな事を言うなんて思ってもいなかった。

 私が、気づきたかった。

 誰よりも胸を焦がして、あの頃の湊ちゃんに恋をしていたのは私だったのに...。

 『藍井くん』は、芽依の手をそっと降ろした。

「湊ちゃんって...俺の事?」

 静かな、静かな声だった。

 胸の奥に刻まれるような、暖かい声だった。

「藍井湊真のアダ名。 ...柚笳が昔、つけたの」

「柚笳...?」

 『藍井くん』がこっちを見る。

 戸惑いを隠しきれない。

 すると突然、『藍井くん』が、私に近付き、背中をポンポンと叩いた。

 ふわっと、香りが宙を舞った。

 男子の香り。

 運動が大好きで、笑顔いっぱいで、何事にも一生懸命だった...

「湊ちゃん......」

 湊ちゃんの香りがした。

 湊ちゃん。

 湊ちゃんだ。

 湊ちゃんに、やっと...会えた。

 涙が止まらなかった。



guest

No.18 茉梛-Mana - 49.97.106.75
2017/01/10 15:32:51 削除依頼

 帰り道。

 私たちは、あの頃に戻ったようだった。

 笑顔で笑いながら、帰っていた。

「あのさ」

 唐突に湊ちゃんが、話を切り出した。

「なに?」

「2人は、俺の事これからも『湊ちゃん』って呼ぶの?」

 あまりにもおかしな内容なのに、湊ちゃんが真剣に言うものだから、芽依と2人で大笑いした。

「どうしたの急に!」

「てゆーか、そりゃ、呼ぶよー!!」

 そこまで言って、湊ちゃんの気持ちがやっとわかった。

「俺の事...もう湊ちゃんって呼ばないでくれない?」

 湊ちゃん、と呼べなくなる。

 今までは受け入れてくれていたのに。

 そうやって呼んだら、笑顔でこっちを振り向いてくれたのに。

「なんで?」

 芽依も私も、戸惑いを隠しきれない。



guest

No.19 茉梛-Mana - 49.97.106.75
2017/01/10 19:30:18 削除依頼

「いや、いいんだけどさ」

 困ったように頭をかく。

 湊ちゃんの癖だ。

「なんかさ、中学生にもなって、恥ずかしいっていうか」

「恥ずかしい??」

「『ちゃん』付けなんて、誰もされてねーよな」

 まあ、確かにそうだけど。

「じゃあ、何て呼べばいいの?」

「湊でいい」

「ちゃん無し?」

「うん」

 あんまり変わんないじゃん。

 確かに。

 芽依と密かな内緒話をしながら、湊に了解の笑顔を見せた。

「ありがと」

 湊は、ほっとしたように笑顔をこぼした。

 しばらく歩き、大通りに出た住宅街で、芽依と別れた。

 そこからは、湊ちゃ...いや、湊と一緒に歩く。

「...湊ちゃ...湊は、どこに帰るの?」

「知らね」

「え?!」

「だって、俺の母さんと父さん家、忘れちゃった」

 にひひと笑う。

 その笑顔が、夕日と重なって眩しく感じた。

「しかも、俺ん家、もう無いんでしょ」

 湊の家は、湊が死んだときに、取り壊して、お母さんも、お父さんも、遠い外国へ引っ越してしまった。

 家があったとしても、湊だなんて、きっと信じないだろう。

「だからさ、お願いがあるんだよね」

「お願い?」

「俺、死んだのにここの世界に戻ってきちゃいけなかった。
 でも、今回は、仕事でここまで来たの。
 しかーし!!」

 湊は、大きな手を1の字にして、高く宙(そら)へ挙げた。

「俺には寝る場所が在りません。
 さあ、どーするでしょうかっ?」

 懐かしい。

 いつものパターンである。

 自分に不が向くとき、人に甘える。 『湊ちゃん』時代の。



guest

No.20 茉梛-Mana - 49.97.106.75
2017/01/10 20:56:34 削除依頼

「どーするでしょうか?」

 湊が求めている答えは判っている。

 だけど、私の家に泊めていいのか。

 昔は昔、今は今。

 全然違う時の流れに、焦りを感じた。

「私の家に泊まりに来る」

 気づいたらそう言っていた。

「あったり♪」

 湊は、今まで以上に嬉しそうな顔をした。

「では、よろしくお願いします」

 横目で軽く睨み付けながら、皮肉混じりにどーぞという。

「あ、俺お前らと学校の人たち以外には、姿見えないから」

 安心して、というように手のひらを私に向けた。

~~

「ただいまー」

 帰宅。

 家にはお母さんがいた。 いつものようにテレビを見ながらゴロゴロしている。

 だから太るんだよ、と言いたい気持ちをぐっとこらえ、姿が見えない『はず』の湊と2階の私の部屋へと向かった。

「お~、懐かしい!」

 嬉しそうな湊を見て、なんだか胸の奥がむずむずした。

「柚笳、ギターなんて、持ってたっけ?」

 私のベッドの横に飾ってある、夢を一緒に追いかけている大切な相棒。

「俺のと似てんじゃん」

「さあ? よーく見てみな」

 湊がギターを観察しているうちに、私は湊が寝るような布団を用意した。

「...柚笳。 このギター...」

 気づいたかな。

「俺の?」

 湊の頭を無意識に撫でる。

「あったり♪」

「...ソレ、俺がさっき言った奴じゃん」

「そ」

 やっぱり、変わらない。

 変わったのは、呼び方と、声だけ。

 他は、全部、あのまんま。

 キラキラしているほど眩しかった、毎日がとても楽しかった、あの頃のように。

 知らず知らず、涙が頬を伝っていた。

「柚笳......、ごめんね」

 そして、湊が私を抱き締めた。

 温もりは、感じられないけれど、気持ちは暖かい。

「ありがとう」

 涙はいつの間にか止まっていた。

「そういえば、湊は、なんの仕事でここの世界に来たの?」

 湊の顔がみるみるうちに暗くなる。

 瞳の焦点が失われていくようだった。

「...神様に頼まれたことがあってね」

 冷たい目だった。

 この目は、私に向けられているわけじゃない。

 別の、誰か。

 この言葉が、あんな出来事を起こすなんて。

 この時の私たちは、まだ、誰も知らない。

♯第3話 完



guest

No.21 茉梛-Mana - 1.75.4.190
2017/01/11 21:48:11 削除依頼

♯第4話

 ジリリリリリリリン。

 けたたましい音に、一瞬で目を覚ます。

 毎朝、自分でも思う。

 いい加減、デジタル目覚ましに変えたらどうなのか。

 でも、いざとなると忘れてしまうのが現実である。

 窓から差し込む朝陽が眩しい。

 ベッドの下をふと見ると、湊が眠っていた。

 一瞬、ビックリしたが、すぐに昨日の出来事を思い出す。

「...おーい、湊」

 昔のように頬をペチペチ叩いて見る。

「遅刻するよー...」

 やっぱり、湊...だなぁ。

 改めて自分の気持ちに自覚をもった。

「んーー...あと15分...」

「湊!」

「...柚笳...?」

 急に目を開ける湊。

 まだ寝ぼけなまこ。 ボーッとしている。

「...柚笳の手、...冷たくて気持ちいい」

 スリっと湊が甘えて来る。

「柚笳...」

 湊の顔が近づいた。

「ちょっ...湊」

「柚笳の唇、...柔らかそう」

「っは?!」

 かあっと顔が赤くなる。

「俺に...くれる?」

 湊だったら...

 夢にまで見た、湊の恋人の役なら...

 私と湊の唇が重なろうとする。

 心臓の音がうるさい。 激しく脈打つ。

「あれ?」

 湊がふいに言葉を漏らす。

「え? 柚笳?!」

 え?

「俺...何やってんの?」

「何って...」

 湊の顔がみるみる赤く染まっていった。

「湊...耳まで赤い」

 ふざけて耳に触れたら、湊はもっと顔を赤くした。

 今なら聞けるかもしれない。

「湊...」

 今度は目の前に座り、湊の前髪をいじりながら聞く。

 距離は、吐息が聞こえるくらい近い。

「...なに?」

 湊は恥ずかしいのか、目を合わせようとしない。

「死ぬ間際、言おうとしてたこと、...なに?」

「死ぬ間際...?」

 あぁ、というように頭をあげる。

「...もう遅いから」

「そんなこと言わないでよ」

「だって、俺、もう死んでるの」

 前髪から手が離れる。

「もう叶わないんだよ」

 叶わない。

「...そんなこと知ってる」

 だけど。

 だけどね。

 大好きなの。

 キミのことが。

 私は立ち上がってギターを手に取った。

 一曲、歌う。



guest

No.22 茉梛-Mana - 1.75.4.190
2017/01/12 22:41:16 削除依頼

「これが湊への気持ちだから」

♪キミに出会えて良かった♪

 ーー湊に出会えて良かった。

♪キミに恋して良かった♪

 ーー湊に恋して良かった。

♪キミはもうここにはいないけれど
 私の心には想いで溢れている♪

♪キミに伝えたい想いがあったんだ♪

♪伝えないまま、キミは立ち去った♪

 絶望のフチに立った気分だった。

♪側に居たかったのに
 誰よりも好きでいたかったのに♪

♪キミにこっちを見てほしい
 私はこんなにも想っているのに
 気持ちは伝わっているのかな♪

 ーーもう、後悔したくないよ。

 ーー今、想いを伝えるから。

♪ひきつった笑顔なんて要らないから
 涙を見せるただありのままのキミが欲しいの♪

 ーー湊の事が。

♪だから、今♪

 ーー今。

♪キミの優しい瞳見ながら♪

 ーー届いて。

♪愛してると呟くの...♪

 ...じゃらん。

 ふと、湊の方を見た。

 ぎょっとした。

「ちょ...湊! ...大丈夫?」

「ごめ...ん」

 湊は、涙をたくさんこぼしていた。

「柚笳の歌聞いたら...っ色々、思い出して...」

「湊...」

 私は湊に近寄った。

 湊は涙を拭かない。 私が求めていた、ありのままの湊。 キミ。

 湊はちゃんと、答えてくれているんだ。

「...俺のギターで、こんな歌...っ作れるんだ」

「こんなの...へたっぴだよ」

「ううん」

 そういうと、私の体を引き寄せた。

 そして、昨日よりももっと強く、抱き締めた。

「俺、もう我慢しない」

 湊の声が間近で聞こえる。

「俺がこんな姿になっちゃっても、ここにいれないとしても...」

 次の言葉を待つ。

「柚笳の事、誰よりも大好きだ」

「......っ」

 涙が溢れてきた。

 やっと、届いた。

 キミに、湊に。

 良かった。 本当に、良かった。

「私...ずっと、待ってたんだから...ね」

 腕に力を込める。

「ごめん...それと、ありがとう」

 なにが?

 口にしようとした。

 そこからは一瞬の出来事。

「ん...」

 湊の瞳が、すぐ目の前にあった。

 長いまつげが涙で濡れている。

 ...湊に、キスされた。

 はじめてのキスは、涙の味がした。

♯第4話 完



guest

No.23 茉梛-Mana - 1.75.1.59
2017/01/14 21:29:54 削除依頼

♯第5話

「あれ? 柚笳、なんか今日変わった?」

 ドキーッッ。

「え、な、なんも??」

 芽依は、やはり鋭い。

 キスしただけで、こんなにイメージ変わるのか?

 湊の方をちらっと見た。

 男子の友達と楽しそうに話している。

 あのあとから、湊とは話していない。

 お互い、意識しあっちゃっているのかもしれない。

 別に、付き合いたいとか、そういう訳じゃない。 だって湊は、この世界の人間ではないのだから。

 結ばれないのは判っている。

 判っているけど。

 でも、家を出るとき、湊にボソッと言われた。

「俺、明日までしか人間界(ここ)に居られない」

 せっかくまた会えたのに。 大切な人が、また居なくなってしまうのか...

 今度こそ、最後の最後。 お別れだろう。

 私の夢を叶える姿を、見てほしかった。

 湊に、これからもずっと側にいてほしかった。

「柚笳? 帰るよー」

「っえ?」

 気づいたら、もう放課後。

 考え事をしていると、時の経過は早い。

 芽依に、この事を伝えなくちゃ。

 校門を出たところで、湊と待ち合わせをする。

 湊が来るのを芽依と待っていた。

「あのさ」

「なーに?」

 言葉が詰まる。

 何て言えば良いの?

「湊...、ここに居られるの、...明日までみたい」

「...」

 芽依の表情が固まる。

「どういう事?」

「湊は、元々この世界の人間じゃないじゃん?
 いつかは、お別れする日が来ると思っていたんだけど...」

 芽依はひきつった顔で笑った。

「...そっ...かあ。 そうだよね」

 長い後れ毛を、指先でいじる。

 そして、静かに告白した。

「私...湊に対して、好きだなって言う気持ちが半端ないんだよね」

 つまり、大好き、って事?

 三角関係? いやいやいや。

 どうせ、どちらかが両想いになっても、どうせ別れは来る。

 それなら最初から、好きにならなければ良かった。

「お待たせ。 なんのはなし?」

 後ろには湊がたっていた。

「っなんも!!」

 ぎくしゃくしながら歩き始める。

 芽依も、きっと私の気持ち、知っている上でこう言っているのだから、相当だ。



guest

No.24 茉梛-Mana - 1.75.1.59
2017/01/14 21:59:14 削除依頼

「俺、向こう帰る前にやんなくちゃいけないことあって」

「何を?」

「んー...犯人探し的な?」

「犯人探し?」

「そ。 俺を殺したヤツ」

 湊の瞳が、みるみる冷たくなっていく。

 色素が抜けていくかのようだった。

「...復讐、する。」

「復讐?」

「...今度は、アイツを俺が殺る」

 自分に言い聞かせているかのようだった。

「殺るってそんなこと...」

 焦りが生まれてきた。

 湊は、こんな人じゃない。

「俺は、復讐するために、ここに戻ってきた。 柚笳や、芽依にもう一度会いに来るためじゃない」

 静かに、でもはっきりと言った。

「そんな...。 私は、湊にもう一度会えたのが本当に嬉しかったのに...!」

「知らねーよ」

 目頭が熱くなってくる。

「じゃあ、昨日のキスは? 私の事を好きだっていう言葉は? 全部全部、ぜーんぶうそだったってこと?」

「...」

 芽依が湊に歩み寄った。

 パシッと音がした。

 なんの音か、最初はわからなかった。

 芽依が、湊の頬をはたいていた。

「っ...た」

 頬は赤くなっている。

 芽依は瞳に涙を溜めていた。

「バカ湊!!! うちらがどんだけあんたの事を想ってるかわかってんの?!」

「芽依...」

「柚笳なんか、あんたのためにあんたの夢を背負って生きていこうとしてるんだよ! あんたはそれを踏みにじった!!!」

 芽依は両目から涙をこぼしている。

「そんな人だとは、思ってなかった。 いつも明るくて、素直で、真っ直ぐで。 誰よりもがんばり屋で、私たちの大好きな湊はどこへ行ったの?!」

 私は、ただ立ちすくんでいることしかできなかった。

「そんな、殺人鬼みたいな人だったの? ...柚笳の歌も、聞いたでしょ...?」

 ハッと湊は鼻で笑った。

「あんな、クソみたいな歌」

 電流が体に走ったみたいだった。

 優しかった湊はどこへ行ったの?

 湊は、本当の湊は...!

「こんな人じゃない...」

「さいってい!!!!」

 芽依は捨てぜりふを吐くと、私を連れていこうとした。

「待って、芽依」

 今だ。

 湊には、この方法しか、ない。

 私は、湊に歩み寄り、目の前でしゃがんだ。

「湊、歌って」

「はぁ?」



guest

No.25 茉梛-Mana - 1.75.1.59
2017/01/14 22:17:55 削除依頼

「湊は、こんな人じゃなかったよ。 いつも笑顔だった。
 こんな眉間にしわ寄せてるような人じゃない」

 湊の眉間を、ぐりぐりと広げた。

「大好きって言われたとき、ホントに嬉しかった。 やっと届いたんだって。 でも、実際は違ったんだね」

 自分でも絶望していることがわかる。

「それは...」

 私は首を横に振った。

「いいの。 これが湊の気持ちなんだってわかったから。 今、ね」

「でも」

 でもじゃない。

 言い訳なんか要らない。

「本当の湊でありたいなら、今すぐ、向こうに帰って」

「...」

「っ柚笳! そんなことして...」

「いいの、芽依は黙ってて」

 どういう選択をするのか。

 昔からの甘えん坊な性格が、今となっていざというときに殺意を起こさせてしまったのかもしれない。

「...俺が帰って、柚笳は悲しくないの?」

「悲しくない」

 本当は嫌だ。

 でも、湊は、ここにいるべき人じゃない。

「...わかった。 ...ごめん」

「あの運転手だって、あのあとすぐ自首した。 それでも許せなかったのは私たちも同じだけど、運命は運命。 しょうがないと言うわけにはいかないけれど、湊は向こうにいるべきなの」

 だから、だから。

 大好きだから。

 お願い。

「芽依も、私も、怖い湊が見たいんじゃない。 いつも笑顔で、お花畑にいるような湊が見たいの」

「...なんだよ、それ...」

 湊は、照れ臭そうに笑った。

 私は、湊を抱き締めた。

「今まで本当にありがとう。 湊には感謝の言葉しかない。 湊の夢は、私が、叶えるから、安心して」

「...うん」

 湊のからだが震えた。

 あのときの涙とは、訳が違うだろう。

 ぐっとこらえた。

「湊、ありがとう」

 芽依も心を込めて言った。

 周りには、人影はない。

 ただ、寒い冬の風が、私たちの横を通りすぎただけだった。

♯キミに捧げるlove letter  完



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